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松代町にある宅老所「あったかいご」です。この施設はスタッフの皆さんがとても明るく、利用しているお年寄りもとても明るく素敵です。都合でいままでの場所から立ち退かねばならなくなり、縁あって僕が設計監理をさせて頂くことになりました。
設計者としてのこの建物の基本的な考え方は、ローコストでありながら本物の素材で時間を超えていける建物とすることでした。
お年寄りが利用するので手に触れる部分など温かな体温を持った自然素材で空間をしつらえること、スタッフが衛生管理・掃除がしやすいよう床材や設備を整えること等を心掛けました。
建具も家具も全て職人の製作。つまり全てが今後直して使う事が出来る物で構成されています。使い捨ての工業製品はありません。
土間コンクリートを直接床にし、外壁は地物の杉板を無塗装で使うことでローコストを実現。外壁はファサードラタン(すの子壁)というヨーロッパの省エネ方法を取り入れています。外壁の通気量が格段に増えるため、優れた断熱効果と遮熱効果が期待できます。まるでりんご箱のようです。
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玄関を入るとすぐオープンキッチンとなっています。
いつもお年寄りがここに腰掛けて、お饅頭やおやき等をスタッフの皆さんと作っています。ほほえましい風景が訪れた人を出迎えてくれます。
ここのキッチンは製作キッチンとなっています。 |
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室内はおおきな畳の間。
腰壁は杉板の無垢材です。白い壁は塗装壁。天井はクラフト紙に巻かれたプラスターです。室内の多くが呼吸できる素材となっています。 |
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畳の間の横は個室になっています。
開け放つと大きな空間となり、一体感が生まれます。
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トイレ便器は空中に浮いています。スタッフによるお掃除のしやすさを狙っています。
嘘のない自然材と衛生的な工業製品とのコラボレーションで使いやすさを提供し、利用する人たちにフィットする施設を目指しました。
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二階はスタッフルームとなっています。
大きなワンルームとし、床は構造用合板むき出しの素地仕上げ。バラック的に仕上げています。
事務所はこれで十分と言ってくださった皆さん、本当に素敵な感性に触れられて、建築家として素晴らしい仕事ができたこと、幸せでした。 |